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高温水蒸気下におけるジルカロイBRC-276からの水素放出

はじめに

ジルカロイBCR-276(Zirc-4)は欧州委員会の標準物質として認証されています。ジルカロイは熱中性子吸収断面積が小さく、熱的・機械的特性に優れているため、熱中性子炉の一般的な被覆管材料である。日本の福島第一原子力発電所の地震・津波事故では、建屋の屋根の下に水素が蓄積し、引火した。このような異常な状況下で水素を発生させるひとつの方法として、比較的単純な化学反応(1)が考えられる:

Zr + 2H2O-->ZrO2+ 2H2+ ΔH

この反応を確認するため、いくつかの予備実験が行われた。

実験的

NETZSCH STA 449F3 Jupiter® に水蒸気炉とQMS質量分析計QMS 403 Aeolosを装備した。BCR-276のシリンダー3本(試料重量約600mg)をTG試料担体上のアルミナプレート上に置いた。試料は、N2と水蒸気下で5K/minと10K/minで1050℃まで加熱した。水と水素の強度を質量分析計でモニターした。

結果と考察

図1は、10 K/分の測定におけるTG曲線(質量変化)と、温度に対する水素と水の強度を示している。酸化による重量増加の開始後、水素レベルも増加している。

1) 水中および窒素中で測定したBCR-276のTG曲線と水素(2)および水(18)の質量強度(加熱速度10K/分)
2) 加熱速度5K/minおよび10K/minにおけるジルカロイBCR-276のTG曲線とH2強度

水素の増加と同時に、水の強度は減少する。1050℃までの重量増加は4 wt%であった。

図2では、5 K/分と10 K/分の2つの測定におけるTG曲線と水素の強度を比較している。加熱速度5 K/minでは、酸化と水素発生が10 K/minよりも早く始まっている。約950℃で、水素発生は安定した飽和状態(一定レベル)になる。

図3に測定前後の試料を示す。

3) 測定前後のBRC-176

Literature

  1. [1]
    M.高温におけるジルコニウム合金の水素吸収。Journal of Nucelar Materials 334, p. 58-64