熱電材料

スクッテルダイト

(Co,Ni,Fe)(P,Sb,As)3型の立方晶スクッテルダイト材料は、高い電子移動度と高いゼーベック係数を持つため、高いZT値を示す可能性がある。

未充填のCoSb3系スクッテルダイトは、熱伝導率が本質的にlarge 、ZT値が低くなるという欠点がある。しかし、これらの材料には空隙があり、そこに低配位イオン(通常は希土類元素)を挿入することができる。これらは格子フォノン散乱の発生源を作ることで熱伝導率を変化させ、電気伝導率を低下させることなく格子による熱伝導率を低下させる。これにより、これらの材料はPGEC(フォノングラス、電子結晶)のように振る舞う。ZTを最適化するためには、熱伝導を担うフォノンはガラスと同じように(フォノンの散乱が大きい-熱伝導率を下げる)、電子は結晶として(散乱がほとんどない-電気伝導率を維持する)、材料を経験しなければならないことが提案されている。

La0.9CoFe3Sb12の格子熱伝導率とFigure of Merit

熱伝導率を下げるためにLa0.9CoFe3Sb12にナノ粒子層を導入する効果を550℃まで調べた。熱伝導率(l)は、DSC 404F1 Pegasus®®であらかじめ決められた熱容量(Specific Heat Capacity (cp) - 比熱容量(Cp)熱容量は材料固有の物理量であり、試験片に供給される熱量をその結果生じる温度上昇で割ったものである。比熱容量は、試料の単位質量に関連している。cp)を用いて計算した。格子熱伝導率は、Wiedemann-Franzの関係を用いて電気熱伝導率を計算し、ltotalから差し引くことで求めた。

452℃でZTは最大値を示し、5 wt.-%のナノコンポジットが最も高いZTを示し、ナノ粒子を含まない対照試料(オレンジ色の点)と比べて15%近く向上した。これらの結果は、すでに最適化されたスクッテルダイト系にナノ粒子を導入することで、熱伝導率をさらに低下させることができ、その結果、広い温度範囲でZTを改善できることを示している。

La0.9CoFe3Sb12の格子熱伝導率とそのメリット図