用語集

Polymorphism
多形性

多形性(多型、修飾)とは、ある固体物質が異なる結晶構造を形成する能力のことです。  

多形を示す物質では、構造が異なると化学組成が同じでも、次のような物理的性質が異なってきます。

  • 溶解度
  • 融点
  • 吸湿性
  • 密度
  • 比熱容量

 

たとえば医薬品分野では、原薬の加工性や薬品の性能などに関わる次のような性質への影響が考えられます。

  • 安定性
  • 体内吸収性
  • 溶出速度
  • 生物学的利用能

 

そのため、多形は医薬品や食品の分野で重要なテーマとなっています。

DSC (示差走査熱量計)では多形のさまざまな修飾形態の特性を調べることができます。

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アセトアミノフェンのDSC測定 [1] 出典:M. Szelagiewicz et al., Therm. Anal. Cal., 57 (1999) 23

アセトアミノフェン(パラセタモール)の結晶多形 

図はアセトアミノフェン(初期質量 2.6 mg)を 2 回加熱測定したグラフです。昇温速度と 1 回目測定終了後の冷却速度はいずれも 10 K/min です。

1 回目の加熱では、開始温度 169℃のピークが検出されています。これはアセトアミノフェンの単斜晶系 I 形の融点として典型的な値です。 [1]

10 K/min での冷却中に結晶化は起こらず、2 回目の加熱では開始温度 72℃ で結晶化し、融点 157℃ の異なる結晶形が形成されています。これはアセトアミノフェンの単斜晶系 II 形に典型的な値です。 [1]