Glossary
Payne Effect
ペイン効果
ペイン効果とは、充填架橋エラストマー系の複素弾性率がひずみ振幅の増加とともに減少することです。
試料が正弦波的に変形する場合、ひずみは時間遅れをともなって応力に追随します。せん断弾性率の減少は非線形挙動を示しますが、これは本質的にはいわゆる フィラー / フィラー相互作用に起因します(図1参照)。エラストマーの全体的な強度はさまざまな事象に影響を受けます。
非充填ゴムの網目構造と弾性率
全体的な強度に対して、フィラーが充填されていないゴムでは網目構造のマトリックスの寄与は振幅とは関係ありません。
フィラー粒子の流体力学的効果
フィラー粒子の場合(例: N8 ~ N9 カーボンブラック 一次粒子)
非弾性フィラー粒子は伸長に関与せず、ポリマー固有のひずみは印加したマクロなひずみと比較して大きくなります。この効果は充填量に依存しますが、荷重振幅には依存せず、全体の強度に大きく影響します。
ゴム内部構造
フィラー/マトリックス相互作用が見られます。(例: N1~、N2~、N5~の小~中規模 凝集構造)
フィラー/マトリックス相互作用
フィラーの構造にゴムの一部が固定化されます。この固定化も振幅に依存せず、全体の強度に影響します。
フィラー/フィラー相互作用
フィラー/フィラー相互作用は弾性率の低下に大きく関係します。機械的荷重を加えると、カーボンブラックの凝集構造(クラスター)が破壊され、強度が低下します。活性炭やシリカはポリマーマトリックス内でフィラー/フィラーの網目構造を形成するため、小さい振幅に対して高い耐性をもたせることができます。しかし振幅が大きくなりすぎるとこの網目構造も破壊され、複素弾性率(G*)は急激に減少します。つまり、変形が大きくなると複素弾性率に対するフィラー/フィラー網目構造の影響は実質的に消失します。
弾性率は非線形に低下します。この非線形性は、フィラー網目構造の劣化やフィラーネットワークに取り込まれたポリマーの解放などに起因したヒステリシス損失によるもので、再び伸張性をもたせることもできます。