用語集

Crystallization
結晶化 

結晶化とは、結晶の形成/成長過程における物理的な固化プロセスです。結晶化の過程では熱が発生します。

結晶成長の際に、人工的な条件を設定して結晶化を促進することができます。 

結晶は気相、液相、固相のいずれからも生成されます。たとえば融解温度(融点)以下に冷却したときの融液の固化、飽和溶液の結晶化、蒸発時の凝縮、固体の相転移(多形)、固相反応における結晶生成、アモルファスの結晶化などが挙げられます。

Polymorphism (多形) : 多形とは、化学組成が同じでも構造が異なるために物理的性質や化学的性質も異なる結晶が存在することと定義されます。 

固化時にどのようにして結晶が成長するかは、冷却条件(例: 図1)や高分子に含まれる添加剤/充填剤の影響、流動条件などによって異なります。その後の延伸過程でも分子の配列が変化すれば、結果として材料物質の特性も変化することになります。 

DSC(示差走査熱量測定)で得られた結晶化曲線と冷却曲線からは、アモルファス状態の液体が結晶状態の固体に変化したときのエンタルピーの変化が分かります。物質の光学的/機械的/熱的/化学的特性は、結晶化による影響を受けるため加工処理過程においてもその影響を考慮する必要があります。 

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冷却条件 

DSC 測定の結果、昇温前の冷却速度に応じてガラス転移点に幅が見られ(75℃〜85℃)、冷結晶化は 151℃、融解は 249℃で観察されました。(DSC 204 F1 +イントラクーラーの構成で測定) 

ポリエチレンテレフタレート(PET)は、結晶化速度が比較的遅い半結晶性の熱可塑性樹脂です。急速に冷却するとアモルファス状態の部分が多くなり、昇温時におけるガラス転移と冷結晶化ピークの Δ比熱容量 (cp)熱容量は材料固有の物理量であり、試験片に供給される熱量をその結果生じる温度上昇で割ったものである。比熱容量は、試料の単位質量に関連している。cp が増大します。 

一方で冷却速度がゆっくりであれば、冷却中に生成される結晶部分が多くなります。その結果、ガラス転移のピークが小さくなり、冷結晶化は起こりません。

図 1: 異なる速度で冷却した後に 10 K/min で昇温した場合のガラス転移、冷結晶化、融解の観察