
28.07.2026
熱と煙だけでは見えない火災の実態 ― ガス分析が変える最新の燃焼試験
火災試験では、発熱量(Heat Release)や発煙量(Smoke Production)が、材料の燃焼挙動を評価する上で重要な指標として広く用いられています。これらのデータから、火災の進展や燃焼特性、潜在的な危険性を把握することができます。しかし、実際の火災では、もう一つ見逃せない重要な要素があります。それは「どのようなガスが発生し、人が何に曝露されるのか」という点です。この化学的な視点を加えるのが、ガス分析です。本テックトークでは、NETZSCH TCC 918 コーンカロリメータとBruker OMEGA 5 FT-IRガス分析装置を組み合わせた最新の燃焼ガス分析ソリューションをご紹介します。発熱量・発煙量・質量減少に加え、発生ガス組成を時間軸上で同期して解析することで、燃焼挙動や有毒ガスの発生、材料性能をこれまで以上に詳細に評価できるようになります。
なぜ火災試験にはガス分析が必要なのか
コーンカロリメータは、実際の火災環境を再現できる代表的な試験装置です。
試料に一定の熱流束を与え、以下のような燃焼特性を測定します。
- 発熱速度(Heat Release Rate)
- 発煙量
- 質量減少
- 着火時間
- 消炎挙動
これらのデータは、材料が火災の進展にどのように影響するかを評価する上で非常に有効です。
一方で、これらの測定だけでは燃焼時に放出されるガスの種類や濃度を知ることはできません。
例えば、発熱量や発煙量がほぼ同じ材料でも、発生するガスは大きく異なる場合があります。
その違いは、
- 火災時の有毒性評価
- 避難安全性(Tenability)の評価
- 材料・配合の比較
- 難燃剤の開発
- 各種規格試験への対応
- 火災シミュレーションモデルの検証
など、多くの分野で重要な情報となります。
TCC 918 × OMEGA 5 が実現する同期解析
OMEGA 5 FT-IRガス分析装置をTCC 918に接続することで、燃焼試験中に発生するガスをリアルタイムで分析できます。さらに、
- 発熱量
- 発煙量
- 質量減少
- ガス濃度
を同一の時間軸上で表示できるため、
- 着火タイミング
- 発熱ピーク
- 発煙ピーク
- 有毒ガス発生ピーク
との相関を容易に把握できます。
また、コーンカロリメータ用に最適化されたガスサンプリング・搬送システムを採用し、FT-IRデータはMODBUS通信を介してTCCソフトウェアへ統合されます。
これにより、データ取得から解析・評価までを一つの環境で行うことができ、火災安全評価や材料開発をより効率的に進められます。

熱分析技術で培ったノウハウを火災試験へ
NETZSCHとBrukerは1993年以来、NETZSCHの熱分析装置とBrukerのFT-IRを組み合わせ、熱分解時の質量変化と発生ガスを同時解析する技術を提供してきました。
今回のシステムは、その長年培った技術を火災試験へ応用したものです。
火災試験では、
- より大きな燃焼負荷
- 火炎燃焼
- 急激な反応
- 複雑なガス組成
など、熱分析よりもさらに厳しい条件下での測定が求められます。
OMEGA 5は、このような環境でも連続オンライン分析が可能なFT-IRシステムです。
5 mの光路長を備え、ppmレベルの低濃度ガスまで高感度にリアルタイム定量分析できます。
代表的な測定対象ガスには、
- CO(一酸化炭素)
- CO₂(二酸化炭素)
- HCN(シアン化水素)
- HCl(塩化水素)
- HF(フッ化水素)
- ホルムアルデヒド
- NH₃(アンモニア)
などがあり、火災時の毒性評価や腐食性評価、材料性能の解析に役立ちます。

このTech Talkで学べること
本セミナーでは、コーンカロリメータとFT-IRガス分析を組み合わせることで、火災試験の可能性がどのように広がるのかを詳しく解説します。
同期した物理データと化学データを活用することで、
- 有毒ガス発生パターンの解析
- 材料・配合の比較評価
- 火災シミュレーションの検証
- トラブルシューティング
- 規格・法規対応に向けた評価
など、より高度な火災安全評価を実現できます。
TechTalkにぜひご参加ください
「材料がどれだけ熱を発し、煙を出すか」だけではなく、
「どのガスが、いつ、どの程度発生するのか」
まで把握したい方に最適な内容です。
TCC 918とOMEGA 5が実現する最新の燃焼ガス分析をご覧いただき、火災試験の新たな可能性をご体感ください。