NETZSCH STA 509Jupiter 白色グローブボックス内に設置され、管理された雰囲気下で繊細な物質の熱分析を行う。

02.06.2026 by Aileen Sammler

STA 509 Jupiter®®-GloveboxおよびDSC 500 Pegasus®®-Glovebox

制御雰囲気下での熱分析を実現

高感度材料、反応性材料、あるいは有害物質の評価には、安全かつ信頼性の高い測定環境が不可欠です。NETZSCHは、このようなニーズに応えるため、STA 509 Jupiter®®-Glovebox および DSC 500 Pegasus®®-Glovebox を新たにラインアップに加えました。

これらの装置は、試料を大気や湿気にさらすことなく測定したい場合や、作業者および周囲環境の保護が求められる用途向けに設計されています。

なぜグローブボックス環境が重要なのか?

多くの材料は周囲環境の影響を受けやすく、空気や湿気との接触によって特性が変化したり、危険な反応を引き起こしたりする可能性があります。

代表的な対象材料として、以下が挙げられます。

  • 吸湿性塩類
  • 酸素感受性化合物
  • 反応性金属粉末
  • 電池材料
  • 放射性物質や有害物質

 

これらの材料を安全かつ正確に評価するためには、制御された雰囲気環境が必要です。その役割を担うのがグローブボックスです。

グローブボックスとは、密閉された作業空間内で試料を取り扱うための装置であり、一般的にはアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気下で運用されます。これにより、試料を外気や水分から保護しながら安全に作業を行うことができます。

グローブボックスの主なシステム構成
  1. 人員保護型システム(Personnel Protection System)
    装置内部を負圧に維持することで、有害物質や危険物質が外部環境へ漏洩することを防ぎます。作業者や周囲環境の安全確保を目的としたシステムです。
  2. 試料保護型システム(Material Protection System)
    装置内部を正圧に維持することで、外気や水分の侵入を防止します。酸素や湿気に敏感な試料の取り扱いに適しており、材料本来の特性を維持したまま測定を行うことができます。

なぜ熱分析装置をグローブボックス内に設置するのか?

環境に敏感な材料を通常の大気中で取り扱う場合、ごく短時間の暴露であっても材料特性が変化する可能性があります。

例えば、吸湿性塩類では、わずか数秒間の大気暴露によって水分を吸収し、測定可能な質量変化が生じることがあります。ある実験では、周囲環境への暴露によって試料初期質量に対して約0.2%の質量増加が確認されました。

このような変化は、

  • 測定結果の精度低下
  • 材料組成の変化
  • 再現性の低下

といった問題を引き起こします。

熱分析装置をグローブボックス内に直接設置することで、試料の保管、前処理、測定までの一連の工程をすべて制御雰囲気下で実施できるため、これらの問題を回避することができます。

その結果、試料を外気にさらすことなく、より高精度で再現性の高い熱分析が可能になります。

👉 詳細については、アプリケーションノートをご覧ください。

TGAをグローブボックス内に設置する理由

NETZSCH STA 509Jupiter サーマル・アナライザーとDSC 500Pegasus 材料試験における制御雰囲気グローブボックス統合用に設計。
STA 509Jupiter グローブボックス・バージョン

NETZSCHの新しいグローブボックス対応熱分析装置

NETZSCHは、制御雰囲気下での熱分析ニーズに対応するため、グローブボックス環境で使用可能な専用ソリューションを提供しています。

現在、以下の装置でグローブボックス仕様を選択いただけます。:

さらに、以下の装置についてもグローブボックス対応モデルをご用意しています。:


これにより、熱重量測定(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、熱膨張測定(DIL)、レーザーフラッシュ法による熱拡散率測定(LFA)など、幅広い熱分析手法を厳密に制御された雰囲気下で実施することが可能です。

酸素や湿気に敏感な材料、反応性物質、有害物質などを対象とする研究開発や品質管理において、NETZSCHのグローブボックス対応ソリューションは、安全性と測定信頼性の両立を実現します。

グローブボックス運用に最適化された分離型設計

NETZSCHのグローブボックス対応モデルの大きな特長の一つが、測定部と制御部を分離したシステム設計です。
システムは以下の2つのユニットで構成されています。:

1) 測定ユニット

  • グローブボックス内部に設置
  • グローブを装着した状態でも操作しやすい構造に最適化
     

2) システムエレクトロニクス

  • 制御システム
  • ディスプレイ
  • ユーザーインターフェース


これらはグローブボックス外部に設置されます。

この分離型設計により、以下のようなメリットが得られます。:

  • グローブボックス内部の設置スペースを最小化
  • 試料や装置へのアクセス性を向上
  • 保守・メンテナンス作業を容易化
  • 快適な操作環境を実現

グローブボックス用途にも対応する高い柔軟性

グローブボックス仕様の装置であっても、標準モデルと同様に多彩な構成オプションを選択することができます。

主なオプションには以下が含まれます。:

  • 各種加熱炉の選択
  • 加熱炉冷却システム
  • 発生ガス分析(Evolved Gas Analysis:EGA)との連携
  • 腐食性ガス雰囲気での測定対応
  • 豊富な試料容器およびアクセサリー

これらの幅広いオプションにより、研究開発用途から生産現場での品質管理まで、それぞれの測定目的や要求条件に応じた最適なシステム構成を実現できます。

NETZSCHのグローブボックス対応熱分析装置は、制御雰囲気下での安全な試料取り扱いと、高度な熱分析機能を両立し、お客様の多様なアプリケーションに柔軟に対応します。

手袋をはめた手でNETZSCH DIL 402Expedis グローブボックスバージョンを操作し、管理された雰囲気で熱分析を行う。
DIL 402 Expedis®® グローブボックス仕様

グローブボックス対応熱分析装置の主な用途

グローブボックス仕様の熱分析装置は、制御雰囲気下での取り扱いが求められるさまざまな分野で活用されています。

主な用途として、以下が挙げられます。:

  • 二次電池 ・全固体電池などの電池材料研究
  • エネルギー貯蔵材料の評価
  • 原子力 ・核関連技術分野
  • 金属粉末および積層造形
  • 高反応性化学材料の解析
  • 吸湿性材料の評価

制御された雰囲気環境での試料ハンドリングと高精度な熱分析を組み合わせることで、試料への外部影響を最小限に抑え、信頼性と再現性の高い測定結果を得ることができます。
 

お客様の用途に合わせた最適なシステム構成をご提案します

酸素や湿気に敏感な材料を取り扱われていますか?

あるいは、有害物質や反応性材料の評価において、特別な安全対策が必要でしょうか?

NETZSCHでは、お客様の研究・開発テーマや測定要件に合わせて、グローブボックス対応熱分析装置の最適な構成をご提案いたします。

お気軽にお問い合わせください。専門スタッフが、お客様の用途に最適なソリューションをご案内いたします。
 

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