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Post Crystallization (Cold Crystallization)
再結晶化(冷結晶化) 

半結晶性プラスチックの再結晶化(冷結晶化)はおもに昇温時にガラス転移点より高い温度で分子運動性が大きくなるために起こります。ただしゴムやTPUでは室温で起こることがあります。 

再結晶化で物理構造が変化し、物質の結晶化度、ラメラ構造の厚み、結晶構造の完全性が増加します。その過程では当初の結晶構造から非晶質構造に遷移する領域で新たな配列構造(微結晶)が形成されていきます。新しい結晶構造は当初の結晶構造と異なり、融点が低くなります(図1参照)。

構造が密になると、プラスチック部品やゴム部品では収縮や歪みが起き、亀裂ができたりすることがあります。

図1: 再結晶化 (出典: Gottfried Wilhelm Ehrenstein, Sonja Pongratz: Beständigkeit von Kunststoffen, p.30)

再結晶化は物理的なエージングプロセスの一端で、DIN 50035 に定義されています。

処理中の冷却によって物質に熱力学的にさまざまな非平衡状態(残留応力、分子の配向、不完全な結晶構造)がもたらされた結果がエージングプロセスです。

溶融プラスチックが過冷却状態で凝固すると、結果として得られる構造は非平衡状態になります。

エージングプロセスは温度によって加速することがあります。

測定事例

再結晶化の測定例 

図はPET(ポリエチレンテレフタレート)の昇温測定をおこなった DSC 曲線で、ガラス転移、再結晶化、融解が示されています。 

使用装置: DSC 214 Polyma

測定条件

  • 温度範囲: 0~290℃、雰囲気: 窒素 40 ml / 60 ml(P2、プロテクティブ)
  • 昇温/冷却 速度: 10 K/min
  • 試料質量: 12 mg、試料容器: Concavus®®容器(穴あき)
図 2: PET 再結晶化の発熱ピーク(ピーク温度 131℃)

火山岩の再結晶化・融解の例 

岩石などの天然物質はその化学組成を分析するのが簡単ではありません。天然物質は一般に、さまざまな酸化物、硫酸塩、炭酸塩などが混合しています。火山岩は通常は溶融したマグマが固まってできており、特に多様な酸化物を含んでいます。

図 3 はこうした物質をusing the DSC 404 F1 で測定した例です。ほとんどが非晶質として固化していることがよくわかります。

623℃~655℃ でガラス転移が起き、再結晶化ピークが 884℃、融解ピークが 1111℃ で検出されました。

再結晶化で放出される熱量は融解熱と同程度であり、この混合物が非晶質であることが顕著に示されていますe.

測定条件

  • 温度範囲:室温 ~ 1250°C、窒素雰囲気
  • 昇温速度: 10 K/minn
図 3: DSC 404 F1 による火山岩の DSC 測定。温度範囲: 室温 ~ 1250°C、10 K/min

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