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Mullins Effect
マリンズ効果 

マリンズ効果はゴム材料にみられる典型的な挙動です。 

NETZSCH DMA Eplexor®® の Universal Test のようなプログラムを用いて線状試料の応力-歪み曲線を記録して、マリンズ効果を観察することができます (ペイン効果とは混同しないよう注意してください) 。

 

マリンズ効果とは 

一定の変形速度で試料を膨張させると、その領域内で応力が増加します(例:左図 - 曲線 3 部分の開始点から終了点まで)。3 の終点で変形を停止させ、同じ速度で試料を初期状態に戻すと応力は異なる経過をたどります(曲線 4 部分)。 

そのあとで試料を再び同じ変形速度で膨張させると、曲線部分 5 の終点までに注目すべき挙動が見られます。これがマリンズ効果です。 

ひずみを増加させると応力はまず曲線 4 部分のようになり、そのあとは曲線 5 部分のようにその終点まで変化します。ひずみを再び逆転させると、応力はまたあらたな挙動をとります。左図では曲線 6 部分で表されます。 

分子レベルで起きていること 

引張試験試料や線状試料に与えられたひずみを巨視的に見ると、試料内の架橋ポリマー鎖が引っ張られています(右図)。 つまり試料は大きく引き伸ばされることになります。 

カーボンブラックなどの充填材ではポリマーネットワークの中でいわゆる「クラスター」を形成しますが、散逸してしまうため加えられる変形に対する機械的耐性が低下します。外的要因の影響を受けていない、まっさらな状態、つまり試料(ポリマーネットワークとクラスター)に機械的な応力が加えられていない状態では、剛性率が高くなります。 

そのため試料に変形を加えるには大きな荷重や応力が必要になります(曲線 3 部分)。これによりクラスターが部分的に破損し、荷重の解放に必要な力は相対的に小さくなります(曲線 4 部分)。前述のように、荷重の方向を逆にして再び加えると、曲線 4 部分を延長した応力-ひずみ曲線が描かれ始めます。 

最初に荷重を加えて 曲線 3 部分の終点に到達したときに破損したクラスター構造は、当然ながら破損したままです。 

そのため曲線 4 部分の延伸となる 応力-ひずみ 曲線が続きます。荷重が継続的に増加するのに伴ってひずみも継続的に増加するので、部分的な破損が繰り返され、残っていたクラスターもさらに破損していきます。 

破損するクラスターの大きさはひずみが増加するにつれ小さくなっていきます。応力-ひずみ測定試験を開始したときに外的要因の影響を受けていない、まっさらな状態の試料に存在している大きなクラスターは最初に影響を受けやすく、破損していきます。ひずみのレベルが高くなると、より小さいクラスター部分も破損します。 

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