
26.05.2026 by Aileen Sammler
食感を“見える化”する:DMAによる食品の動的粘弾性評価
柔らかさ、ジューシーさ、噛み応え。
これらは単なる主観的な感覚ではなく、食品が持つ力学的特性に基づいています。動的機械分析(DMA)を用いることで、こうした食感を定量的に評価することが可能です。
本アプリケーションでは、NETZSCH DMA 303 Eplexor®® を使用し、ステーキ肉の食感を客観的に評価した事例をご紹介します。得られた結果は、食品開発や品質管理はもちろん、近年注目されている植物由来代替肉の設計・開発にも有用な知見を提供します。
なぜ食品分析にDMAを用いるのか?
食品は力が加わると、弾性と粘性の両方の性質を示す粘弾性体として振る舞います。咀嚼や切断、加熱といった過程では、その力学特性が絶えず変化しています。
DMAは、このような変化を高感度に捉え、食感との関連性を明らかにすることができます。
例えば、DMAによって以下のような特性を評価できます。
- 硬さ(剛性)
- エネルギー吸収特性(減衰特性)
- 変形に対する抵抗性
これらの特性が、温度変化や組織構造、加工条件によってどのように変化するかを解析することで、人が感じる食感との関係を定量的に評価できます。
主な結果:温度と筋繊維方向が食感を左右する
本研究では、加熱の進行に伴い、肉の剛性が非線形的に大きく増加することが明らかになりました。十分に加熱されたステーキは生肉と比較して著しく硬くなり、私たちが感じる「噛み応え」や「硬さ」の増加を力学的に説明することができます。
さらに、筋繊維の配向方向が力学特性に大きな影響を与えることも確認されました。筋繊維に沿った方向で測定した試料は、筋繊維を横切る方向で測定した試料よりも高い剛性を示しました。これは、「肉は繊維を断つように切ると柔らかく感じられる」という料理の経験則を定量的に裏付ける結果です。
食品業界および研究開発への価値
本研究で得られた知見は、以下のような用途に活用できます。
- 食品製造における一貫した食感品質の管理
- 客観的かつ定量的な品質評価
- 代替タンパク質食品や植物由来肉製品における食感設計・最適化
NETZSCH DMA 303Eplexorは、人が感じる官能的な食感を信頼性の高い力学データへと変換し、食品開発や品質管理に新たな評価指標を提供します。
まとめ
動的粘弾性測定(DMA)は、食品の特性評価に新たな可能性をもたらします。人が感じる食感や口当たりといった官能評価を、再現性の高い定量データへと変換することで、現代の食品科学における研究開発や製品イノベーションを強力に支援します。
NETZSCH DMA 303 Eplexor®® を用いることで、柔らかさや硬さ、噛み応えといった感覚的な品質を客観的に評価し、食品の品質向上や新製品開発に活用することができます。
👉 実験条件や測定データの詳細については、アプリケーションノートをご覧ください。
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